かつてたばこの広告は、人物をメインにしたものが当たり前のように放送されてきました。
しかし今では、たばこが人体に影響を与えることがうまく表現できておらず、未成年が見る可能性の高いテレビでは広告を放送しない、たばこを想起させる人物を使って広告・マーケティングを行わないなど、消費者やそれ以外の方に影響を与えないよう、あらゆる配慮がされています。
最近では銃の絵文字もなくなるほど、表現を考慮する企業や個人が増えてきています。
※参照 https://news.yahoo.co.jp/byline/shinoharashuji/20180412-00083879に
先日、一般社団法人パートナーシップ協会で発表したジェンダー平等・多様性のガイドラインは海外のガイドラインを翻訳し、日本版としてリリースをしたものです。そこで今回は、広告の歴史を振り返りながら広告の影響力を考えると共に、ジェンダーの広告の未来を考えます。また、ガイドライン作成にあたり日本で問題とされる事例をご紹介いたします。

前提:広告の影響力を考える
なぜジェンダー広告ガイドラインのアップデートが今回において必要なのでしょうか。それは前述の通りにたばこを始め人に危害を与えるものや犯罪に触れる可能性のあるものには広告規制がかかっているということです。
例えば、たばこの広告は人物がほとんど写っていません。もしテレビやネットで憧れられるような俳優が「たばこを吸うって気持ちいい」などと言えば、俳優に憧れてたばこを未成年でも吸おうと思うかもしれません。特に判断力が十分に養われていない未成年ほど危険です。
特に情報化社会において、広告はあらゆる場面で機能しているからです。サービス提供者が気にするのは、商品の利点や発信側が伝えたい情報だけでなく、潜在的な規範と価値観も広告によって固まっていくのです。
また、従来の自分の感覚を頼りにすることも危険です。これはセクハラではない、「YOUTUBEに上がっていた」「○○さんが言っていたから大丈夫」などです。
広告のジェンダー表現におけるケーススタディー
それでは、ガイドラインの事例のもととなるものを一部ご紹介していきます。冒頭には広告の「重要3原則」が取り上げられている通り、犯罪行為につながる表現はまず避けるべきものだと指摘されています。
1. YOUTUBE

ここで事例としたのは、ユーチューブ動画のサムネイルです。犯罪を助長するタイトルは、冗談の様に扱われているのは明らかなのですが、性被害に遭った人からすれば冗談では済まされません。一生病気になったり、自尊心を失ったり、仕事ができなくなったり、性被害に遭った人の視線に一歩立ってみればどういう発信をしたら良いのかは明らかでしょう。
これは日本の配信されている動画ではよく見かけています。それ以外の、たとえ動画の中身では、ジェンダーバイアスを生産するつもりはないという全体的なメッセージ性があったとしても、あえてタイトルだけを「話題になりやすい」ものとした事例もあるでしょうか。
例)「渋谷でセクハラしてみたら意外と行けた」「家族にセクハラ」など

視聴率が欲しい、売り上げを上げたい、などの経営上の利益を考えたいのかもしれませんが、まずは人権です。会社でセクハラを受けて人が死んだり、社内でレイプ事件が起きたらどう対応するつもりでしょうか。
世の中は巡り巡って自分にも回ってきます。
広告の世界においては、表現ガイドラインに基づいて規制の重要性が明らかになってきます。
2.ネット番組
古くからあるテレビ番組ではゴールデンタイムでは18禁の内容を放送しないなどの取り決めがありましたが、最近のネットテレビでは規制がなっていないことも多くあります。
3.その他 ラジオ、メディアなど
サイバーエージェントが運営するメディアにて掲載された記事。枕営業はありというのは単なる趣味嗜好のように聞こえるかもしれませんが、たばこやレイプ、DVなどの言葉に置き換えて考えるとわかりやすいでしょう。
わざわざそれを伝える必要はあるでしょうか。メディアならもっと世の中を良くするために伝えることがあるはずです。
「枕営業は損だけどアリだと思う」紗倉まな
引用:新R25より
余談ながら、今まで女性はあたかもセクハラの被害者のように見られてきましたが、一方でセクハラをされるように仕向けてきた女性が今までいたことも事実です。枕営業は武器でもなんでもなく、自分の裸を見せれば嬉しいだろうと思い込んだ女性により男性の経営者は企業リスクだと迷惑がっていることもあります。そのような相談も事実あります。枕営業の考え方はもちろん、発信の仕方にも他の犯罪に習い、ガイドラインが必要でしょう。
まとめ
「タバコを吸いましょう」「吸っても問題ありません」と発信をすることは犯罪を助長していることと一緒です。確かに人によっては何も感じない人もいるかもしれませんが、感覚の差であり、実際は他人から見れば「感覚が麻痺している人」に見られているかもしれません。
「「セクハラしてきた」「レイプしてきた」「枕営業は女の武器である」なども同じように犯罪を促進するような行為でしょう。
たばこが過去にそうであったように、レイプを含めた性犯罪を助長する人を取締る動きも確実に必要です。
犯罪にジェンダー論は不要です。犯罪は犯罪であり、犯罪を促進することの倫理を貫き通すことの方が難しいでしょう。
まずは人を傷つくことをしない、犯罪に繋がるようなことをしない、という基本的な理念に変えれば、性の広告規制は急務です。日本の未来が誰もがいかなる犯罪に怯えることなく、安心して生きることができるものであるために、企業や個人が真剣に取り組む必要があります。
ジェンダー平等・多様性のための広告ガイドラインはこちら