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Z世代に聞く!ジェンダー意識のリアルと未来~座談会【後編】

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前回に続きZ世代の学生にジェンダーに関する就職活動、働き方、教育、時事ニュースを見てどう考えるのか、一般社団法人パートナーシップ協会のインターン生に本音で語ってもらいました。

前回はこちら

 

◆参加者

徳山:慶応義塾大学4年生

王:東京外国語大学院2年生

長谷川:青山学院大学4年生

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ジェンダーへの問題意識、世代間で差はある? 

―2021年6月、東洋経済でジェンダー平等をテーマにして発刊されたものがあるので紹介します。ジェンダー問題に関して企業やメディアは保守的なことも多く、大きな衝撃を与えたと一部で話題になりました。Z世代からみてどのように感じられますか。例えばジェンダー平等に配慮できなくて炎上したSNSや広告の企業事例があります。

長谷川:こうした広告には違和感がありますね。   

ただ、事例を読んでも、30代以降はピンとこないという声をよく聞きます。 

王:記事を読んでも、読んだら終わりで自分事として考えられない人が多いのではないでしょうか。   

徳山:僕も違和感を覚えます。でも、友達を見回してもピンとこない人は20代前半でもたくさんいるような気 はしますね。 世代もありますが、個人がどこまでジェンダー問題を意識し理解をしようとしているのか、個人差に寄るところも大きいと思います。

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※2021年6月発売 東洋経済 

2012年 味の素の企業CM。ご飯を作るお母さんの苦労に「ありがとう」とエールを送るCMが炎上。肯定的な意見もあったが、お母さんの“ワンオペ”である家事が炎上の理由。

学校教育とジェンダー

ー学生生活を送る中で、ジェンダー問題を感じることはありますか?

徳山:あまりありませんね。でも、アンケートでセクハラをしていてもセクハラだと気づけない人がいることが、話題に出ることはあります。   これだけセクハラがニュースになっていても、まだ無意識にセクハラをしてしまうことがあるのは驚きます。

王:そういえば、私の友達が高校時代制服を着なくてよい学校に通っていて、びっくりしました。 

長谷川:私のところもそうでした。今でも珍しいですけどそういった取り組みを行っている学校も増えてきていて少しずつ多様性も進んでいるのかなと思いました。   

教育の多様性といえば、文理選択の男女差って大きいですよね。   

徳山:あれ面白いですよね。成績を見ても明らかに女性のほうが優秀で、理系が苦手なんてことほぼないのになぜか理系の女性が少なくなる現象。 

―業界において、例えばエンジニアは男の人が得意な仕事であるといったバイアスを抑えるためにパソコンを使うイラストに女性を使うといった動きはすごく盛んになっているみたいですね。   

王:私の通っている大学はスポーツが盛んなのですが、それをアピールするための広告の中心がほぼ男性であることが気になります。   

長谷川:そういえば医学部受験において、男性のボーダーと女性のボーダーが別に設定されていたことがありましたよね。女性が医学部に不向きだとか勉強が苦手だとか証明されているわけでもないのに、単純に優秀な人材を逃していてもったいないなと思います。   

王:中国でもそういった差別は露骨に行われていることが多いです。例えば警察テストの合格点とか、教員試験などでも行われているみたいです。   

むしろ中国では男性よりも女性の採用人数が多いことがあります。女性が優秀だと考え、基準を設定しているようです。

徳山:それは面白いですね。日本と逆の現象です。もはや学校や就職の人数の設定に根拠を示すほうが難しい。

確か最近、中国で同性愛表現を規制する広告方針が出ていましたよね。   

王:最近悪い方向に進みがちで、フェミニストというだけで反社会的勢力のようなラベリングをされてしまうようになってきています。例えば「合格点を同じにしよう」と言っただけでも、支持されなくなってしまうこともあります。   もっとアジアでも声を挙げやすい社会になってほしいと願います。

ジェンダー平等と未来。これからのジェンダー平等に向けてできること

―ジェンダーの話題について私達ができることは何でしょうか   

徳山:例えば、SDGsって目標の方法論まで実は挙げているのですが、その一つがジェンダー平等、そしてその方法論として主に女性のエンパワーメントが設定されています。もちろん、男性が弱者になる側面もたくさんあると思いますが、相対的に女性のほうが弱者側としてさらされることが多く、女性をひとまず強くするというのは、網羅的解決ではないかもしれないですが効率的な方法だと思っています。   

長谷川:男性の悩みで最近増えているのは「稼がなきゃいけない」って言う不安感。男性の収入の減少に伴い、男らしさのバイアスも重なって不安や焦りを感じる人も多いのだとか。逆に女性はもっと稼ぎたいけどできないって人が多い。

そういう時にどうやって権利を主張していくか、「伝え方」が大事だと思います。

女性の権利だけを一方的に主張していくとフェミニストと呼ばれます。ジェンダー平等社会の実現に向けて動きたいのであれば、女性の権利だけを主張するのではなく、男性と女性、それ以外の権利もセットで推し進めていくと話が前に進みやすいと聞きました。

ー家庭のジェンダー平等についてはどう思いますか。

王:男性は、自分の能力や選択で環境を変えていって主導権を取れる環境にあることはまだまだ変わっていません。それを考えると、専業主婦は家庭の経済面で主導権を逃げられないことが多く辛いこともあると考えています。   いざ離婚をしたい時に離婚できないことも問題になっていますよね。

長谷川:それでも日本はまだまだ専業主婦志望の人って多いですよね。ただ専業主婦にしろ、男性にせよ多様性を持った選択ができるような社会と家庭の制度になってほしいです。   

王:日本でミスコン優勝した方のインタビューを見たのですが、専業主婦志望だと堂々と表で発表をしていました。別にそれが悪いことではないのですが、どうにも不思議な感じがします。   人前に出て輝いている人が専業主婦志望だと、専業主婦に憧れる人がまたどんどん増えていく。

徳山:そうですね。もちろん個々人の希望を否定することは無いですが、学習性無力感というか、選択肢が無意識に奪われるような雰囲気の中で本人が選んでいるからって言うのは社会問題としてみた時には逃げていると思います。   

長谷川:あと、帰属しているグループを複数持てるようにするのが選択肢を増やすのに大事だと思っています。専業主婦はどうしても家族だけに依存してしまい世界が狭くなってしまうことも選択肢を奪っている要因になると思うので、結婚生活、育児生活でくくらずにその中でも多様性を出せるようにすると良いと思います。   

ー本日はありがとうございました。 

王:ありがとうございました。 

徳山:ありがとうございました。 

長谷川:ありがとうございました。  

まとめ

ー今日の座談会でZ世代の持っているジェンダーに対する感覚がわかりました。世代や個人、国により問題意識は様々。多様な価値観の中で、私達ひとりひとりがどうしたらジェンダー平等社会に近づき、ジェンダーギャップを是正し、誰もが働きやすい社会になるのか。大盛り上がりだった今回の座談会。まだまだ議論の余地はありそうです・・・!続く!?

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