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ジェンダー炎上と時事ニュース【広告編】

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最近は広告を始め、ジェンダーに関して炎上しているニュースを見聞きする機会が増えたのではないでしょうか。

 今回は近年ジェンダーに関して炎上した事例を取り上げることで、どのような広告が炎上に繋がるリスクがあるのか、なぜそのような炎上が起きてしまうのか、原因を検証し対策の提案をまとめました。

広告運用をする企業様や、広告やSNSの運用担当者をする広報の方、必読です。ぜひ参考にしていただけますと幸いです。

内閣府のポスター 

 「平成30年 女性に対する暴力をなくす運動」の一環として、セクハラ防止をテーマとしたポスター「これもセクハラ?」というメッセージで打ち出したものが炎上しました。 

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(内閣府HPより) 

 このポスターが炎上した理由は、「男性目線から描かれている」「女性側が気にし過ぎといわれているような印象を受ける」「セクハラを軽く扱いすぎている」というものです。 

【炎上理由①】

 ひとつ目は、内閣府という極めて公的な機関が出したため、厳しい目で見られることが多いことです。これが「軽すぎる」という批判の内容とも直結しているように思います。しかし、明らかに男性をターゲットにしたポスターであり、男性には重いテーマだということがピンと来にくい可能性もあります。筆者個人としてもわからなくはないと思ってしまうほどでした。 

 ふたつ目に、「困惑した男性」が最も目立つようなデザインであることです。このポスターが伝えたいことは当然「上記の行為がセクハラに当たることがあり、やってはいけない」つまり「セクハラを決めるのはあなたではない」というテーマです。メッセージ自体はずれていないものの、困惑した男性が目に留まってしまうため、受け手が違う印象を持ってしまう事でしょう。もう少し「セクハラを決めるのはあなたではない」の部分を強調するようなデザインであれば、炎上しなかったかもしれません。 

 デザインも含め、見せ方を一歩間違えると炎上をしてしまう事例です。

【対策】

メッセージ性だけではなく、デザイン性にも配慮をした広告にする。事前にポスターを見た人が受ける印象の調査を行う。このポスターを見た人が不快になるか、前向きなメッセージと捉えるか、など、年代や性別、職業により異なる受け手の印象を確認してから広告を展開すると良いでしょう。

 

ー日本赤十字 

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アニメイトホールディングス©Takeより 

【原因】

2019年10月に新宿駅献血ルーム前に日本赤十字社が掲載したキャンペーンポスターが炎上しました。炎上した原因としては、日本赤十字という公共性の高い機関が出していたこと。デザインが性的に過度であるという理由から炎上しました。

きっかけは日本に詳しい米国人男性のTwitterの投稿です。「赤十字のポスターとしてふさわしくない」と発言をしたことから問題になりました。

また、大阪大学教授の牟田和恵氏は第4回日本レポート審議総括所見(2009年)にて「女性の過度な性的描写は、女性を性的対象としてみるステレオタイプな認識を強化し、少女の自尊心の低下をもたらす」といった勧告を根拠に批判しています。その他にも、これを見て不快感を覚える人は多いようです。 

 日本赤十字自体は、一般向けではなくあくまでコミックマーケットという創作の祭典のようなイベントを目当てに通る人をターゲットとして行っていたようです。しかし結果的に新宿駅に張り出したことによって当然より多くの人の目にとまる状況だったと言えます。 

とはいえ、同じようなセックスアピールのる広告だとしても、女性向けの下着広告が炎上することはありません。“この内容がダメ”、というよりも誰に向けてどのようなメッセージを届けるのが問題になるのかについて、運用面にも気を使う必要があることがあります。 

 

 

【対策】

 メッセージ性だけではなく、誰に向けたメッセージなのかを議論し、リスクを想定した上で広告にする。また自治体によってはガイドラインを作成しているところもあり、ガイドラインの制定の重要性が明らかになったことでしょう。

「男女平等参画基本計画」(2000年)でも「メディアにおける女性の人権の尊重」が盛り込まれ、2003年には内閣府の「男女共同参画の視点からの公的広報の手引き」でこれを「地方公共団体、民間のメディア等に広く周知するとともに、これを自主的に規範として取り入れることを奨励する」としています。

 

まとめ 

 広告は今までと同じようにただ通り一遍のマーケティングをすれば良いのではなく、ターゲッティングを含め、注意する点が多くあることが分かっていただけたのではないでしょうか。炎上しやすいポイントはどこか、広告を考える時のポイントはなのかを踏まえ、数年単位でガイドラインの制定、知識のアップデートが必要です。ガイドラインの制定の必要性を認識した企業や自治体も多いのではないでしょうか。

もちろん、SNSなど個人の発信でも気にしなければいけないことですが、企業、特に広報にとっては広告が人々の思想に大きく影響を与えることを留意し、事前にジェンダーの視点からチェックを行う必要性があります。

最後までお読みいただきありがとうございました。

ライター:Shoma Tokuyama

 

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